Introduction Example医療法人芳州会 村井病院

貴院の特徴をお聞かせください。

渡辺理事長
当院は、昭和36年に34床の小規模病院として開院して以来、60年以上にわたり精神科医療に特化してきた病院です。現在は215床を有し、「信頼される誠実な精神医療を行います」という理念のもと、精神科救急医療と慢性期医療の両方を担っています。

24時間365日の受け入れが可能な常時対応型精神科救急医療施設として、松本市・塩尻市周辺の精神医療を支える役割を担っており、急性期から在宅支援まで一貫したケアを提供しています。長期にわたる入院や地域での生活支援も多く、医師・看護師・薬剤師・心理士・精神保健福祉士・作業療法士など多職種連携で支える体制が特徴です。

Background導入経緯

電子カルテ導入のきっかけ・目的をお教えください。

西島様
長年、紙カルテを使って診療を行ってきましたが、精神科医療の特性上、患者様の経過が長期にわたること、多職種での情報連携が多いことから、紙運用では限界が見え始めていました。

カルテの保管スペースが膨大になり、必要な情報を見つけるのにも時間がかかる。カンファレンスや退院支援会議では、各部署ごとに記録を持ち寄る必要があり、情報の抜けやタイムラグも課題でした。 国としても2030年までにすべての医療機関で電子カルテ導入を完了させる方針が示され、「医療の質の向上」と「業務の効率化」を両立させるためには、当院としても早期の電子カルテ導入が必要であると判断しました。そうした背景から、2023年頃から本格的に電子カルテ導入の検討が始まりました。

電子カルテシステムの選定で、MOMACEをご選択いただいた理由をお聞かせください。

西島様
導入検討の当初は、別のベンダーの電子カルテ導入を決定し、準備を進めていました。しかし、開発の遅れにより稼働時期の目途が立たず、現場から「本当にこのまま進めて大丈夫なのか」という不安の声が上がるようになりました。すでにPCなどの端末機器は購入済みで、スケジュールもタイトな中での方向転換でした。

そのような状況の中で、当院の事情をいち早く理解し、「これまで検討してきた運用設計を活かしつつ、早期稼働を目指す」という具体的な提案をしてくださったのがMOMTECさんでした。 MOMACEは精神科に特化した機能が豊富で、医師・看護師・薬剤師・精神保健福祉士・公認心理士など多職種の情報を一元管理し、チーム医療を推進できる点が大きな魅力でした。

さらに、当院が継続利用していた富士通製の医事会計システムとの連携についても、長野県内のパートナー企業と協力しながら、短期間で現実的な構成をご提案いただきました。

「精神科に強い機能」と「現実的なスケジュールで動けるパートナー」、その両方を満たしていたことが、MOMACEを選定した大きな理由です。

Process導入過程

実際の導入作業はいかがでしたか? 苦労された点などはありましたか?

高橋様
導入作業は、正直なところ“焼け野原からのスタート”のようなものでした。 導入を検討していた前ベンダーのシステムはクラウド前提で準備を進めていたため、MOMACEを導入するにあたって、ネットワーク構成やセキュリティ面を一から見直す必要がありました。

院内では、医師・看護師・薬剤師・精神保健福祉士・公認心理士など各部署の代表によるワーキンググループを立ち上げ、紙で行っていた業務をどの機能で置き換えるか、どのように運用するかを議論していきました。

精神科は文書様式が多く、多職種が記録を残すため、テンプレートや経過表の設計にはかなり時間と労力をかけましたが、そのプロセス自体が業務の棚卸しにもなり、結果的には病院全体の業務を整理する機会になったと感じています。

本稼働時はいかがでしたでしょうか? 不安などはありませんでしたか?

西島様
準備期間が限られていたこともあり、不安がなかったと言えば嘘になります。特に、長年紙カルテに慣れ親しんできた職員にとっては、「本当に明日から電子カルテだけで大丈夫なのだろうか」という心配もありました。

しかし、稼働前に職種別のトレーニングをしっかり行ってもらい、実際の画面を触りながら「自分たちの仕事をこのように置き換えていく」というイメージを全員が共有できたことは大きかったです。

本稼働初日は、細かな操作で戸惑う場面はあったものの、大きなトラブルもなく診療を継続できました。
高橋様
もちろん、完璧な状態でのスタートではなく、使い始めてから見えてきた課題も多くありました。それでも、稼働初日のSE立ち合いによるQ&A対応から、その後のMOMACEサポートセンターの立ち上げまで非常にスピーディーに対応してくださり、「現場を止めない」という姿勢を強く感じました。

Results導入効果

MOMACE導入により、どのような変化・効果がありましたか?

西島様
一番大きな効果は、「情報の一元化」と「記録の標準化」です。

それまで紙カルテや部署ごとのPC、個人管理のメモなどに分散していた情報が、MOMACE上に集約されることで、患者様の状態を多面的に把握しやすくなりました。

病棟カンファレンスや退院支援会議でも、必要な情報がリアルタイムで確認できるようになり、「この情報はどこにあるのか」「誰が最新の状況を知っているのか」といった確認作業が大幅に減りました。

また、記録様式を標準化することで、入力内容の抜け漏れや記載のばらつきが減り、ミスの早期発見にもつながっています。
西島様
ソーシャルワーカーの立場からは、他職種の動きが見えるようになったことが非常に大きいです。

以前は、医師の文書作成状況や各種申請の進行状況を把握するために、直接確認したり、紙のファイルを探したりする必要がありました。今はMOMACE上で進捗を確認できるため、患者様やご家族への説明もスムーズに行えるようになりました。

また、情報が均質化され、どの端末からでも同じ情報にアクセスできるようになったことで、業務スピードは目に見えて向上しました。紙運用時代には戻れないと感じています。

職員の皆さまの反応はいかがですか?

西島様
比較的若い世代の職員からは、「紙よりも入力が早い」「どこにいても情報を確認できるのが便利」といった前向きな声が多く聞かれます。一方で、ベテランの職員にとっては、操作に慣れるまで時間がかかる部分もありますが、実際に使い続ける中で「慣れてしまえばこちらの方が楽」と感じている方も増えてきました。
高橋様
システム担当の立場からは、マスタ変更が容易で、当院の運用に合わせてカスタマイズできる点が非常に好評です。導入後に「こうした方が現場に合うのでは」という意見が出た際も、MOMACEのマスタを調整することで柔軟に対応できます。
サポートセンターに相談しながら調整することも多いですが、その過程が職員の「自分たちで電子カルテを育てていく」という意識につながっていると感じます。

Supportサポート体制

24時間365日のサポートについて、印象に残っていることをお聞かせください。

高橋様
当院は24時間365日、精神科救急の受け入れを行っているため、深夜帯や休日にシステムトラブルが起きた場合のリスクは非常に大きいです。実際に、夜間に問題が発生し、深夜にMOMACEサポートセンターへ連絡したことがありましたが、その際も迅速に対応していただき、翌日の診療に支障をきたさずに済みました。

「いつでも相談できる先がある」という安心感は、常時対応型の医療機関にとって何より重要です。

カスタマイズやマスタの調整についても、サポートセンターの存在は大きいです。マニュアルだけでは判断がつかない細かい部分も、電話やリモートで丁寧に教えていただけるので、院内に専任のSEがいなくても運用を続けていける安心感があります。

Prospects将来展望

今後のICT化や機能拡張についての展望、貴院の展望などがありましたら、お聞かせください。

西島様
今後は、より直感的に操作できるUIや、視覚的に情報を把握しやすい画面構成に期待しています。精神科は長く勤務される職員も多く、年齢層も幅広いので、「スマートフォンに近い感覚で使える電子カルテ」になっていくと、さらに定着が進むと感じています。

文書機能についても、ExcelやWordに頼らず、カルテ情報をそのまま活かして書類作成できる仕組みが充実すると、地域連携や行政への報告など、院外とのやり取りもよりスムーズになると期待しています。
高橋様
電子カルテは、単に紙を置き換えるツールではなく、「病院文化を育てるための基盤」だと感じています。

効率化によって生まれた時間を、患者様と向き合う時間や、ご家族への説明、地域との連携強化に充てていくことが、今後の村井病院の大きなテーマです。

常時対応型精神科救急としての役割を果たしつつ、地域の中で開かれた病院であり続けるためにも、MOMACEとともに、病院全体の文化や働き方をアップデートしていきたいと考えています。

MOMACE導入を検討されている病院様に、アドバイスをお願いいたします。

高橋様
電子カルテ導入はゴールではなく、スタートだと思います。導入前から多職種を巻き込み、「自分たちの現場に合ったシステムを一緒につくる」という意識を共有しておくことが何より重要です。

MOMACEは現場の声をしっかりと受け止め、改善に付き合ってくださるパートナーですので、不安なことも含めて率直に相談してみることをおすすめします。
西島様
短期間での導入は大変でしたが、その過程で業務の洗い出しや整理が進み、結果的に病院全体としての「足腰」が強くなったと感じています。

精神科病院で電子カルテ導入をご検討されている施設様には、精神科に特化した機能と、24時間365日の手厚いサポート体制を持つMOMACEを、ぜひ一度検討してみていただきたいと思います。

お話をうかがった方:渡辺理事長、精神保健福祉士/社会福祉士 西島様、管理栄養士 髙橋様

  • 施設名
  • 医療法人芳州会 村井病院
  • 理事長兼院長
  • 渡辺 啓一
  • 理念
  • 信頼される誠実な精神医療を行います

    1. 精神科救急医療の推進。
      精神科救急病棟を有して精神科救急の受け入れに力を入れます。
    2. 慢性期精神医療の推進。
      在院日数の短縮に努めます。
      退院支援を行います。
      アウトリーチなど在宅医療の充実を図ります。
    3. 地域と連携を密にしてその要望に応える精神医療を展開します。
    4. 人権の擁護を最大限に確保する精神医療を推進します。
    5. 職員個々の教育・研修に力を入れます。
  • URL
  • https://www.murai-h.or.jp/